『人間になりたかった獣/2.5』
幕間:村娘の話
今日も村娘は一人、筆と帳面を抱えて村外れの屋敷へと走る。
あの屋敷には近づいてはいけませんよ
母様はそう仰る。
友人達達も
あの娘は戦争帰りの狂人に誑かされているのだ
と口々に噂して娘を指差した。
だが娘は立ち止まらない。
だって屋敷の御主人の御話はどんな遊びより針仕事より勉学より面白いのだ。
今日はどんなお話を聞かせてくださるのだろう
もしも良ければ、また山神様の話をしてほしい
黒い羽に黒い衣、山奥に咲いた桜の木の下に住む鷹の神様。
『サスケ』様のお話を。