『cluster』2014.7/23
「そういえばさ」
ぽつり、と口を開いた金髪に桜色が振り返った。
「今日ってサスケの誕生日だよな?」
「そうね」
「だからって何するわけでもないんだけどさァ…」
「そうね…」
「サクラちゃん、なんか上の空?」
「そうね……」
「……………」
重苦しい沈黙。
あー、と気だるげに呟かれた声と共に、唯一露わになった片目が宙を仰ぐ。
一年を通してあまり寒暖の差がない木ノ葉の里だが
雲一つない空はとても夏らしい青色だ。
「ま、今日は定期連絡で集まっただけなんだし、この後ヒマなら飯にでも寄る?」
「カカシ先生がそんな事いうのって珍しいってばよ…」
「ホント、どういう風の吹き回し?」
「お前らね…オレのこと何だと思ってるのよ?」
「予定が終わるとすーぐ帰っちまう」
「昔からそうよね」
「…そう?あんなに可愛がってやってたのに、薄情だね」
三人で連れ立って歩く繁華街は、数年前、四人で歩いた道。
あの日も今日のように、少し珍しいカカシに連れられて
少し良い定食屋に入り、少し高い食事を奢って貰った。
あの時、四人で連れ立って歩いた道を今は三人で歩く。
「言っておくが、今日は奢ってやらないぞ」
「えー」
「ケチー」
「じゃあさ、飯食ったら掃除しにいかねェ?」
「そうね、ついでにケーキでも買ってみんなで食べましょ!」
あの日と同じ、四人掛けの席に三人で座り、あの日と同じ定食を頼んだ。
これから、家主のいない家を掃除して、主役のいない誕生会を開こう。
こんなに縛られて、心を捕らえられて、忘れることなんてできないから。
君との出会いに祝福を。
生まれてきてくれてありがとう